国土交通省の「ガイドライン」などに基づくFAQ
Q:畳の裏返し、表替えは負担しなければならないですか?
A:入居者が「通常の使用」をしただけで、故意や過失による毀損・破損・汚損がなければ、畳の裏返し、表替えについては、次の入居者確保のために行われるもですので、負担する義務はありません。
また、日照による変色や家具等の設置によるへこみなどの跡があったとしても、「通常の使用」による損耗に当てはまります。
Q:傷つけたクロスの負担はどうなりますか?
A:入居者の故意や過失によって毀損・破損・汚損した箇所については面単位などで負担する義務が発生してくることとなりますが、入居期間などに応じて負担額額は減ることとなります。
Q:ルームクリーニング代の特約があると負担しなければならないですか?
A:入居者は「通常の清掃」をすればよいとされており、普段の拭き掃除、掃き掃除、水回りの掃除、換気扇やレンジなどの油汚れの除去が当てはまります。
そのため、「通常の清掃」がされていれば専門業者が作業をするにしても、それは次の入居者を確保するためのものですから、単に「入居者はルームクリーニング代の実費を負担する」という特約があったとしても支払う義務はありません。
ただし、「通常の清掃」が十分にされていない場合においては、清掃の程度に応じて入居者の負担が発生する場合もあり得ます。
Q:網入りガラスにヒビが入っていたら負担しなければならないですか?
A: 網入りガラスのヒビ割れは寒暖差などで発生することがありますので、経年変化によるものが多く、入居者の故意や過失などで毀損した記憶がなければ、その点を主張していきましょう。
敷金の調停に関するFAQ
Q:ADRのメリットは何ですか?
A:敷金のトラブルを裁判で解決するには、費用と時間がかかってしまいます。しかし、ADRでは裁判に比べて、簡単に、安く、柔軟に敷金の紛争を解決することが可能です。
基本的には、1回の調停を最大2時間程度とし、最初の1回目で解決することもありますし、多くても3カ月で3回ほどの調停を実施し、和解成立を目指します。
ただし、途中でADRに不満が生じたら、当事者はいつでもやめることができます。
また、当事者どうしが離れた地域に住んでいても、「電話による調停」も可能であり、話し合った内容も非公開となります。
Q:ADRのデメリットは何ですか?
A:敷金の調停を実際に行うには相手方の同意も必要になりますので、相手が拒否したときにはADRによる調停は実施できません。
また、裁判での判決とは違い、強制的な執行力を持つものでなく、「和解契約書」の作成に至っても相手が和解契約書の内容を実行しない場合には、別途で裁判手続きを経た後に執行してもらう必要があります。
Q:敷金の調停費用はどれくらいかかりますか?
A:費用の概算は以下の4区分の合算となります。(消費税別)
◎申立手数料→10,000円を申立人が負担。
但し、取り下げた場合や相手方が応諾しなかった場合は5,000円が返還されます。
◎期日手数料→1期日あたり10,000円を当事者双方が半額負担。
但し、一方の欠席等の理由で期日に開催されなかった場合は全額返還されます。
◎紛争解決手数料等→和解時において、解決額(当初負担額-最終負担額)を基とした算出額を当事者双方が半額負担。
(一例)解決額が20万円であれば、「20万円×1.2%+3万円=32,400円」
◎その他の費用→実費
(一例)申立てによる調査費用、調停室以外の場所で開催した場合の会場費その他の費用
Q:敷金に関する調停の申立てはどのようにすればよいですか?
A:申立てはすべて日本不動産仲裁機構で受け付けていますので、まずは電話、メール、入力フォームのいずれかの方法で相談や申立てなどを行っていただくことになります。